引越しで済んでいる市町村が変わる場合、転出届を忘れずに提出してください。
住民票異動手続きは義務であり、転出届を提出しなかったり転出日をごまかすと、罰則を受ける可能性もあります。
うっかり転出届の提出を忘れないためにも、本記事で転出届を手続きする際のポイントを解説します。
転出届の提出は義務なのか?
そもそも「なぜ住民票の異動手続きをしなければいけないか」と、疑問に感じている人もいるかもしれません。
結論を申し上げますと、住民票異動手続きはやらなければいけない手続きです。
転出届の手続きは「住民基本台帳法」により規定されており、市町村から転出する人は届け出をしなければならないと法律で義務づけられています。
そのため住んでいる市町村が変わった場合、転出届は提出しなければいけません。
なお区にお住まいの方で同じ市内に引越す人は、転居届の手続きを行いますが、東京23区においては、区内の引越しであっても転出届の手続きが必要です。
転出届が不要になるケースは、同じ市町村内および一時的な転居、親の介護のために生活の拠点が2か所になるなど、住民票を異動しない正当な理由がある場合に限られます。
したがって一般の方々については、市町村を移る際は転出届を提出することになると覚えておきましょう。
住民基本台帳法
(転出届)
第二十四条 転出をする者は、あらかじめ、その氏名、転出先及び転出の予定年月日を市町村長に届け出なければならない。
転出届の手続きを忘れてしまう原因は何か?
住民票の存在は誰しも知っていますし、引っ越しする際に住民票の異動手続きが必要なこともご存じだと思います。
それでも転出届を忘れてしまうのには、引越し作業が関係しています。
引越し時にやるべき手続きが多い
引越しは住んでいる場所を変えますので、荷物の運搬はもちろんのこと、退去・入居手続きやライフラインの解約・新規契約など、働きながら引越し準備をするので大変です。
賃貸物件に住んでいる人なら、退去手続きをしないと家賃を余計に支払うことになりますし、引越し日までに荷造りをしないと荷物を運べません。
電気・ガス・水道・インターネットは生活に欠かせませんので、日常生活への影響が少ない役所手続きは後回しになってしまうのです。
普段の生活で住民票の所在地を気にする機会がない
引越し時に住民票の異動手続きが必要だと思っても、普段の生活で住民票の所在地を気にすることはありません。
一人暮らしの場合だと住民票の場所は実家という方もいますので、転出届は必ずやるべき手続きだと認識していない人もいらっしゃると思います。
やらなきゃいけないと思いつつ、やるメリットがないと中々行動できないのはよくある話であり、住民票を異動させていない原因の一つでもあります。
役所は平日しか開いていないので手続きする時間がない
役所は原則平日しか開庁していないため、転出届手続きを窓口で行う場合、有給を取得して作業することになります。
休日に一部業務を行っている地方自治体も存在します。
ただ自治体によって休日に開庁しているかは違いますし、住民票の異動手続きが休日対応している業務とも限りません。
また住民票を移す必要性は知っていても、手続き方法を知らない方は多いです。
転出届は郵送で手続きすることも可能ですが、あまり知られていません。
※本記事では郵送による転出届の手続き方法も解説しますので、ご参考にしてください。
引っ越し時の住民票異動手続きの期限はいつか?
引越し時の住民票の異動手続きは、「転出届」・「転入届」・「転居届」の3種類あります。
提出する届出書によって、手続きする場所と期限は異なりますので注意してください。
転出届の手続きは引越し前後14日以内
転出届の手続き期間は、引越し当日の前後14日以内が基本です。
地域によっては30日前から届出をできる市町村もありますので、ホームページや役所に問い合わせて確認してください。
転出届を手続きする場所は今まで住んでいた市町村の役所なので、基本的に手続きは引越し前に済ませることをオススメします。
転出手続きを行った際に発行される『転出証明書』は、転入先の市区町村に提出する書類です。
転出証明書が無いと転入手続きができなくなるため、転出届を最初に行いましょう。
転入届の手続きは引越し日から14日以内
転入届は、引越し後14日以内に手続きしてください。
手続きする場所は、引越し先の市区町村です。
転入手続きは引越しした後にならないとできませんし、手続きに際しては『転出証明書』が必要ですので、転出届⇒転入届の順番で手続きを行ってください。
転居届手続きは引越し当日から14日以内
転居届は、引越し当日から14日以内に行ってください。
引越しが同じ市町村内の場合や、同じ市内の区間異動の場合も転居届の手続きが必要です。
(東京23区に住んでいる方が他の区に異動する際は、転居届ではなく転出届・転入届の手続きを行います。)
転居届は同一市町村内の異動で行う手続きなので、転居届を行う際に転出届の提出は必要ありません。
転出届の提出を忘れてしまった場合どうなるのか?
転出届を提出しなかった場合のデメリットと、それに伴うリスクについて解説します。
給付金や手当を受給できない
住民票は、その市区町村に住んでいることを証明するための書類です。
給付金や市区町村が実施している手当は、住民票のデータを元にしています。
実際に居住していたとしても、住民票を移していなければ住民とはみなされず、給付金や手当を受けられない可能性があります。
住民サービスが利用できない
市区町村では、地域住民のみ利用できるサービスも存在します。
たとえば図書館は、他の市区町村在住の人でも利用できますが、本を借りられるのは市(区町村)民に限られているケースが多いです。
また市民プールなど、地方自治体が運営している施設の場合、地域住民とそれ以外では利用料金に差があることも珍しくありません。
公共サービスを利用する場合、住所を証明する書類の提示を求められるため、住民票を移していなければ、満足に公共サービスを受けられなくなります。
実印は住んでいる市区町村で登録する
実印は住んでいる市区町村で登録を行い、他の市区町村へ転出する際は、引越し先で再度印鑑登録を行わなければいけません。
実印は印鑑で自身を証明する重要なものです。
旧住所で登録してある状態の実印を利用すると、後々問題になる可能性がありますので、市区町村をまたぐ引越しの場合は実印の手続きも必要になります。
転出届が遅れても正直に申し出れば影響は少ない
住民票異動手続きは、法律で期限が決まっています。
ただ期限を過ぎたとしても、すぐに手続きすれば影響は少ないです。
罰則規定は存在しますが、1日提出期間が遅れただけで罰則を受けるケースはほとんどありません。
逆に期限が遅れたことを隠すために、引っ越ししたに日付をごまかした方が問題になりますので注意しましょう。
転出届を忘れたら罰金の対象になるのは本当?
住民票異動手続きの記載内容にウソがある場合、5万円以下の過料に処される可能性があります。
住民基本台帳法
第五十二条
第二十二条から第二十四条まで、第二十五条又は第三十条の四十六から第三十条の四十八までの規定による届出に関し虚偽の届出(第二十八条から第三十条までの規定による付記を含む。)をした者は、他の法令の規定により刑を科すべき場合を除き、五万円以下の過料に処する。
- 転入届⇒住民基本台帳法第22条
- 転居届⇒住民基本台帳法第23条
- 転出届⇒住民基本台帳法第24条
給付金などを不正に取得するために、住民票の異動日をごまかす人もいます。
国や地方自治体の財政は厳しいため、不正受給に対する取り締まりは厳しいですし、もし不正受給が詐欺罪に該当すれば罰則は更に重くなりますのでやめましょう。
刑法
第二百四十六条(詐欺)
人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
転出届を窓口で提出する際の手続き方法
それでは市区町村の窓口で、住民票の異動手続きの方法について解説します。
転出届の窓口は戸籍住民課
転出届の手続き窓口は、今まで住んでいた市区町村の戸籍住民課です。
(自治体ごとに戸籍住民課の名称が異なる場合もあります。)
窓口は平日のみ開庁しており、一般的に開庁時間は8時30分から17時までです。
窓口手続きの際に予約は必要ありません。
しかし週明けや週末は混雑が予想され、役所に行ってもすぐに手続きできるとは限りません。
したがって時間に余裕をもって、役所へ行くことをオススメします。
転出届の手続きの可能な人
引っ越しする本人が窓口で転出手続きするのが基本です。
ただ本人が窓口に行けない場合、世帯主や同世帯者であれば、本人に代わって転出手続きを行うことも可能です。
家族で引越す際は代表者が一括して手続きできるため、家族全員で役所窓口へ必要はありません。
委任状があれば代理人に手続き頼むことも可能
転出届は、本人から委任を受けている人も手続きを行えます。
委任を受けているかは委任状の有無で判断しますので、委任状を作成していなかったり、記載内容に不備があると、代わりに手続きできない可能性もあるのでご注意ください。
窓口で転出届の手続きをする際の必要書類
転出届を提出する際に必要となる書類は、次の通りです。
転出届は、役所の窓口に設置してあります。
国民健康保険証などの手続きも必要な方は、転出届の手続きで役所へ行くタイミングで、一緒に手続きを行ってください。
- 本人確認書類
※外国人の方は転入者全員の在留カード - 印鑑
- 国民健康保険証(加入者のみ)
- 介護保険証(対象者のみ)
- 後期高齢者医療被保険者証(加入者のみ)
- 通知カード、またはマイナンバーカード
- 住民基本台帳カード(所有者のみ)
転出届は郵送により提出することは可能なのか?
転出届手続きは、郵送により手続きすることも可能です。
したがって忙しい人や、平日に役所へ行けない方は郵送による手続きも検討してください。
転出証明書は郵送で取得可能
転入届手続きの際に必要になる転出証明書は、郵送で請求できます。
転出証明書が返送されるのには、役所に書類が到着後1週間程度かかりますので、時間に余裕を持って郵送してください。
注意点として、郵送のやり取りをする関係上、転出証明書を取得するのに時間がかかります。
同封した書類に不足があった場合には追加提出を求められ、その間転出証明書が発行されません。
3月から4月は転出入の件数が増加しますので、転出証明書の郵送件数も増え、役所からの返送が遅くなることも想定されます。
転入届は引越し後14日以内と期限が決まっていますので、手続き期限が差し迫っている場合は窓口で手続きしてください。
郵送手続きで必要になる書類
転出証明書を郵送で取得する際に必要になる書類は、次のとおりです。
転出届の郵送で必要になる書類
- 郵送用の転出届
(市町村のホームページに掲載されています。) - 返信用封筒
返信用封筒には切手(通常は84円)を貼ってください。
不正防止のため勤務先への返送ができない市町村もあります。 - 申請者の本人確認書類
(運転免許証・保険証などのコピー)
提出書類に不備があると、転出証明書は発行されませんので、記載内容の不備がないか確認し、必要書類を同封の上郵送してください。
転出する際にマイナンバーカードはどうすればいいのか?
マイナンバーカードの住所手続きは14日以内に行うこと
マイナンバーカードは、住所など登録してある情報が変更する際は、14日以外に手続きしてください。
マイナンバーカードの変更は、新しい住所の市町村で行うため、転出届と一緒の場所で手続きはできません。
引越しにより住所を移る際は、転入届と一緒に転入先の市町村で手続きすることになります。
通知カードは変更手続きをする必要はない
マイナンバーカードと通知カードでは、住所変更した際の手続き方法が異なります。
通知カードは、令和2年5月25日以降住所変更手続きが不要になりました。
したがってマイナンバーカードではなく、通知カードを所有している人は、住所が変わっても手続きする必要がありません。
マイナンバーは住所変更後も同じ番号を使用する
個人番号(マイナンバー)は日本に住んでいる人に付されており、特別な事情がない限り番号は変わりません。
そのため今の個人番号は、引越しした後も引き続き使い続けます。
「転入届の特例」を利用すれば転出証明書は不要!
マイナンバーカードを所有している人は、「転入届の特例」により転出証明書がなくても転入届手続きができるようになります。
「転入届の特例」は、前もって転出地の市区町村に「転入届の特例による転出届」を郵送または窓口にて手続きします。
「転入届の特例」の届出期間は、引越し日前後14日以内です。
(市区町村によっては、引越し日30日前から受け付けている場所もあります。)
指定された期間を過ぎた場合、「転入届の特例」は適用できませんのでお早めに手続きしてください。
転出届を提出する際に印鑑を忘れても大丈夫?
役所手続きをする際、何かと押印を求められる機会が多いですので、引越しで役所へ行く時は印鑑を携帯するようにしましょう。
転出届の手続きで印鑑は原則必要
転出届に際して、印鑑は基本的に必要です。
後述するケースでは印鑑が不要になる場合もあります。
ただ印鑑が必要なのに持参していなかった時のリスクを考えると、印鑑を用意した方が無難です。
なお転出届を提出する際は、以下のものを用意してください。
転出届の際に必要となるもの
- 窓口に来た方の印鑑(窓口に来た方が署名する場合は不要)
- 国民健康保険証および年金手帳
(加入者のみ) - マイナンバーカード(個人番号カード)
(海外に引越す人)
転出届で押印する印鑑は認印でOK!
転出届で押印する印鑑は、実印では無く認印で大丈夫です。
認印は、市町村に実印登録していない印鑑で、朱肉を使うものをいいます。
シャチハタのようなゴム印式のハンコは、印影が崩れるなど理由から、役所の書類で使うことは認められていないケースがほとんどです。
そのため役所の書類には、シャチハタを使わないようにしましょう。
印鑑ではなくサインでOKな市区町村も存在する
転出届に住所・氏名を記載すれば、印鑑を不要とする市区町村もあります。
地域によって必要・不要は違うため、今住んでいる場所の市町村ホームページで確認することをオススメします。
なお印鑑が不要になるのは、本人が役所の窓口で手続きする場合のみであり、代理人が転出届を作成する際は押印が必須ですので、押し忘れに注意してください。
印鑑登録してあるけど転出したらどうなるの?
印鑑登録は、本人を証明する印鑑を登録する制度です。
一般的には『実印』と呼ばれており、住んでいる市町村に特定の印鑑を届け出ることで印鑑登録は完了します。
実印は市町村ごとに管理している
実印は市町村ごとに管理しているため、転出届の手続きをすると印鑑登録は自動的に抹消されます。
したがって他の市町村へ転出した際は、転出先の市町村で再度印鑑登録の申請をしなければなりません。
なお同じ市町村内で転居する場合は、登録してある実印は抹消されませんのでそのまま実印を使用できます。
また転居届を済ませれば、印鑑証明書の住所も自動で切り替わりますので、忘れずに転居届の手続きも行ってください。
実印登録できる印鑑は1つのみ
1つの印鑑で、実印登録できるのは1人だけです。
家族それぞれで印鑑登録する際は、個々に印鑑を用意しなければなりません。
登録できる印鑑は、市町村(東京23区も含む)の条例で規定されていますので、登録する前にご確認ください。
参考:千葉市の登録印鑑の制限
- 住民基本台帳に記録されている氏名、氏、名、旧氏または氏名、旧氏若しくは通称の一部を組み合わせたもので表していないもの
- 職業、資格その他氏名、旧氏又は通称以外の事項を表しているもの
- ゴム印その他の印鑑で変形しやすいもの
- 印影の大きさが一辺の長さ8ミリメートルの正方形に収まるもの又は一辺の長さ25ミリメートルの正方形に収まらないもの
- 印影を鮮明に表しにくいもの
- その他市長が、登録を受けようとする印鑑として適当でないと認めたもの
参考:千葉市印鑑条例
転出届手続きに失敗しないためのポイントのまとめ
転出届手続きについてのまとめです。
- 手続きは引越し前後14日以内
- 転出日を偽りと罰則の対象になる
- 基本的に印鑑は必要
- 郵送により手続きすることも可能
役所以外でも住所変更が必要な手続きは多いため、住民票異動手続きは優先的に行ってください。
住所が変わらないと、運転免許証や保険証の住所を変えることもできません。
また引越し時には水道・ガス・電気など、やるべき手続きは沢山あります。
そのため引越し日が決まりましたら、計画的に準備を進めてください。
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